Isaac SIMを始めるなら、まずはワークステーション選びから!
「Isaac SIMを使ってみたいけど、どんなPCが必要なの?」
そんな疑問を持つ若手研究者の方へ向けて、最適なワークステーション構成をわかりやすく解説します。
このページでは、Isaac SIMの特徴や必要スペック、予算別のおすすめ構成、よくある失敗例まで、導入前に知っておきたいポイントをまとめました。
研究室導入や個人利用を検討中の方は、ぜひご相談ください!
Isaac SIMとは?
Isaac SIMは、NVIDIAが提供するロボティクス向けの物理ベースシミュレーションプラットフォームです。
NVIDIA Omniverse上に構築されており、以下のような研究・開発に活用されています。
- 自律移動ロボットの挙動検証
- センサーシミュレーション (LiDAR、カメラなど)
- AIモデルのトレーニング用合成データ生成
- ROS2との連携によるソフトウェア・イン・ザ・ループ検証
リアルタイム性・物理精度・拡張性に優れており、研究者が現実に近い環境でロボットの挙動を検証するための強力なツールです。
Isaac SIMに必要な基本スペックとは?
推奨スペック
項目 | 最低 | 推奨 | 理想 |
---|---|---|---|
OS | Ubuntu 20.04 / Windows 10 | Ubuntu 22.04 / Windows 11 | Ubuntu 22.04 |
CPU | Intel Core i7 (7th Gen) / Ryzen 5 | Core i7 (9th Gen) / Ryzen 7 | Core i9 / Ryzen 9 / Threadripper |
コア数 | 4 | 8 | 16 |
RAM | 32GB | 64GB | 64GB以上 |
ストレージ | 50GB SSD | 500GB SSD | 1TB NVMe SSD |
GPU | RTX 3070 / 8GB VRAM | RTX 4080 / 16GB VRAM | RTX Ada 6000 / 48GB VRAM |
GPU性能が最重要
IsaacSIMは、リアルタイムの物理シミュレーションと高精度なレンダリングを同時に行うため、GPUの性能が研究の効率に直結します。特に重要なのは以下の2点です。
- CUDAコア数:物理演算やAI推論処理に使われる並列演算ユニット。多ければ多いほど処理が高速になります。
- VRAM容量:シーン内のオブジェクト数やセンサー情報が増えると、GPUメモリの使用量が急増します。8GBでは複雑なシーンで不足し、描画遅延やクラッシュの原因になります。
RTX 4080以上 (VRAM 16GB以上) が推奨されるのは、IsaacSIMがRTX世代のRTコア (レイトレーシング) を活用しているためです。RTX 3060など旧世代では、処理能力・安定性ともに不足するケースが多く報告されています。
RAMは64GB以上が安定
IsaacSIMでは、複数のロボットやセンサーを同時に動かすことが一般的です。これにより、以下のようなメモリ負荷が発生します。
- 物理演算の同時処理
- センサー (LiDAR、カメラ) のデータ保持
- ROS2ノードの並列実行
32GBでは、これらの処理が重なるとスワップ (仮想メモリへの退避) が発生し、処理速度が著しく低下します。スワップはSSDに依存するため、CPU/GPUの性能があってもボトルネックになります。
研究用途では64GB以上のRAMが推奨され、将来的な拡張を見越して128GB以上に対応可能な構成が望ましいです。
NVMe SSD推奨
IsaacSIMでは、以下のような大量のデータを頻繁に読み書きします。
- 3Dモデル (URDF、USDファイル)
- シーン構成ファイル
- センサーデータログ
- AIモデルのチェックポイント
これらのファイルはサイズが大きく、読み込み頻度も高いため、ストレージの速度が処理全体のボトルネックになります。
HDDやSATA SSD | 読み込みに数十秒〜数分かかることもあり、開発効率が著しく低下 |
NVMe SSD (PCIe Gen4以降) | 従来のストレージと比較して、読み書き速度が数倍〜十数倍速く、IsaacSIMの起動・シーン切り替え・ログ保存がスムーズ |
特に合成データ生成やAIトレーニングを行う場合は、2TB以上の高速NVMe SSDが推奨されます。
予算別おすすめ構成例 (科学技術計算用高性能ワークステーション RADICシリーズより)
エントリー構成 | Isaac SIMの基本機能を試したい方向け

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CPU | Intel Xeon W5-2545 3.50GHz (TB3.0時 最大4.7GHz) 12C/24T |
メモリ | 合計64GB DDR5 5600 REG ECC 16GB ×4 | |
GPU | NVIDIA GeForce RTX5070Ti 16GB | |
ストレージ | 1TB SSD S-ATA | |
電源 | 1000W 80PLUS PLATINUM | |
OS | Ubuntu 22.04 |
Isaac SIMの軽量なシーンやROS2連携の検証を始めるのに適した入門スペック。
バランス構成 | 中規模なシミュレーションや論文執筆に活用したい方向け

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CPU | Intel Xeon W7-3555 2.70GHz (TB3.0時 最大4.8GHz) 28C/56T |
メモリ | 合計128GB DDR5 5600 REG ECC 16GB ×8 | |
GPU | NVIDIA GeForce RTX5080 16GB | |
ストレージ | 1TB SSD S-ATA | |
電源 | 1000W 80PLUS PLATINUM | |
OS | Ubuntu 22.04 |
Isaac SIMの複数ロボット・センサー同時処理に対応したスペック。GPUはRTX Ada世代が望ましい。
ハイエンド構成 | 大規模な物理シミュレーションやAIトレーニングにも対応したい方向け

![]() |
CPU | Intel Xeon Gold 6530 2.10GHz(TB 4.00GHz) 32C/64T x 2 |
メモリ | 合計256GB DDR5 5600 REG ECC 16GB ×16 | |
GPU | NVIDIA RTX6000 Ada 48GB (DisplayPort x4) ※RTX 6000 Ada ×2枚構成も可能 | |
ストレージ | 1TB SSD S-ATA | |
電源 | 1000W 80PLUS PLATINUM (RTX5090使用時は1500W以上推奨) | |
OS | Ubuntu 22.04 |
Isaac Labや合成データ生成など、GPU負荷の高い処理に最適。GPUはRTX Ada世代を推奨。
選定時のチェックポイントと優先順位
項目 | なぜ重要か | 優先度 |
---|---|---|
GPU (RTX世代) | RTコアを活用するため、RTX 30/40/ADA世代が必須。VRAMは16GB以上推奨。 | ★★★★★ |
RAM | 複数ロボット・センサー同時処理時に必要。Isaac Lab利用時は64GB以上が望ましい。 | ★★★★☆ |
CPU | マルチスレッド処理が多いため、コア数が多いほど有利。 | ★★★★☆ |
ストレージ | NVMe SSDでないとアセット読み込みが遅くなる。 | ★★★☆☆ |
OS | Ubuntu推奨。Isaac SIMコンテナはLinuxのみ対応。 | ★★★☆☆ |
よくある質問と回答 (FAQ)
- Isaac SIMはWindowsでも動きますか?
- 一部機能は動作しますが、Dockerコンテナ版はLinuxのみ対応です。Ubuntu 20.04/22.04が推奨です。
- GPUはQuadroとGeForceどちらが良いですか?
- GeForce RTXでも十分です。ECCメモリが必要な場合はQuadroを選択しましょう。
- RTX 3060では動作しますか?
- 最低要件は満たしますが、VRAM不足や処理遅延が発生しやすいため非推奨です。
- Isaac SIMでROS2は使えますか?
- はい、ROS2との連携が可能です。ソフトウェア・イン・ザ・ループ検証に活用できます。
- 予算が限られている場合、どこを妥協すべきですか?
- GPU性能は妥協しない方が良いです。RAMやストレージは後から増設可能です。
よくある失敗パターンと注意点
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GPU非対応 (RTコアなし)
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IsaacSIMは、NVIDIA RTXシリーズに搭載されているRTコア (レイトレーシング専用ユニット) を活用して、リアルな物理挙動やセンサーシミュレーションを実現しています。そのため、A100やH100などのデータセンター向けGPUは非対応です。
これらのGPUはAIトレーニングには最適ですが、RTコアを持たないため、IsaacSIMの描画処理が正常に動作しません。購入前に必ず「RTコア搭載かどうか」を確認しましょう。
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VRAM不足
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IsaacSIMでは、複雑なシーン (複数ロボット、障害物、センサー、環境光など) をリアルタイムで描画・処理するため、GPUのVRAM (ビデオメモリ) 容量が非常に重要です。
8GB VRAMでは、以下のような問題が発生しやすくなります。
- シーンの読み込みに時間がかかる
- 描画がカクつく、フレームレートが低下する
- メモリ不足によるクラッシュや強制終了
RTX 4080 (16GB VRAM) 以上を選ぶことで、安定した描画と高速なシミュレーションが可能になります。
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RAM不足
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IsaacSIMは、GPUだけでなくCPUとメインメモリ (RAM) にも高い負荷をかけます。特に以下のようなケースでは、RAM不足が顕著になります。
- 複数のロボットを同時に動かす
- ROS2ノードを並列で実行する
- センサー (LiDAR、カメラ) を複数搭載する
- Isaac Labを使用してAIトレーニングを行う
32GBでは、これらの処理を同時に行うとスワップ (仮想メモリ) が発生し、処理速度が極端に低下します。64GB以上のRAMを搭載することで、スムーズな動作と安定性が確保できます。
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ストレージがHDD(読み込みが遅い)
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IsaacSIMでは、以下のような大量のファイルを頻繁に読み書きします:
- USD形式の3Dモデル
- シーン構成ファイル
- センサーデータログ
- AIモデルのチェックポイント
HDDやSATA SSDでは、これらのファイルの読み込みに時間がかかり、起動・シーン切り替え・ログ保存が遅延します。特に開発中は頻繁に再起動やシーン変更を行うため、NVMe SSD (PCIe Gen4) の導入が必須です。
Isaac SIM対応ワークステーションの導入をご検討中の方へ
IsaacSIMを活用したロボティクス研究には、目的や予算に応じた最適なワークステーション構成が不可欠です。TEGSYSでは、研究者の皆様が安心して導入できるよう、以下のようなサポートを提供しています。
スペック選定の個別相談
「どのGPUが自分の研究に合っているのか分からない」「RAMはどれくらい必要?」といった疑問に、専門スタッフが丁寧にお答えします。研究テーマや使用予定のツール (IsaacSIM、ROS2、AIモデルなど) を踏まえた、目的別のスペック提案が可能です。
見積もり・構成提案
ご予算や条件に応じて、最適なワークステーション構成をフルカスタマイズでご提案します。GPUやRAMの変更、OSの選定など、柔軟なカスタマイズが可能です。大まかな条件に合わせたご提案も得意としていますので、安心してご相談いただけます。
購入後の設定サポート
ワークステーションの初期設定やIsaacSIMのインストール、動作確認まで、導入後の技術サポートも充実しています。トラブル時の対応や、ROS2との連携設定など、研究開始までの立ち上げをしっかりサポートします。
「スペック選定に不安がある」「研究室での導入を検討している」など、どんな段階でもお気軽にご相談ください。