民生用PCと産業用PCの違いって何?

本ページの内容は2011年11月発行のニュースレター「月刊手柄」の記事を再構成したものとなっております。

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多くのPCメーカーが「産業用PC」というカテゴリーに該当するPCをリリースしています。メーカーによって産業用PC、FAパソコン、エンベデッドPC、組み込みPCなどいろいろな呼び方がなされていますが、基本的な想定用途や特徴はどれも類似したものです。そしてテグシスでも産業用PCの製作・販売を行っています。

産業用PCとは、設備の制御装置や製造現場、さまざまな産業機器への組み込みといった、長時間の安定稼働を前提としたシビアな用途向けに設計されているPCのことをいいます。
しかし、そのような用途であっても実際にはコスト等の懸念から、民生用PCを使用しているユーザーも多いのではないかと思います。

今回は、民生用PCと比較して産業用PCには主にどんな特徴があるのかを解説してみたいと思います。

 

長期安定供給ができる

民生用PCは次々と世代が代わり、半年から長くても1年程度でモデルチェンジしてしまいますが、 産業用PCは2年~5年といった長きにわたって同じモデルの販売が続けられることが多いです。 そのため、技術者の方はPCがモデルチェンジするたびに次のPCをどうするか検討したり、 動作検証をやり直したり、設置スペースに収まるかどうか確認したり…といった手間が省けます。

レガシー(旧世代)のPCを提供できる

製造設備や産業機器はモデルサイクルが非常に長いため、それに対して次々と世代や規格が変わってゆく民生用PCにはついて行く事が出来ません。産業用PCではレガシー(旧世代)のインターフェースやOSなどに対応したモデルを長きにわたって提供し、サポートすることができます。

Windows XPのようなひと世代古いOSでも、産業用PCならば「Embeddedライセンス」という組み込みシステム用ライセンスを利用することができます。

追記:2016年12月31日をもってマイクロソフト社からのWindows XP Embedded OSの提供が終了しました

長時間の連続運転に強い

民生用のPCは基本的に昼間のみの使用で5年程度の耐用年数を想定して設計されているといわれていますが、産業用PCは工場の製造現場や重要な設備の制御装置など、長時間稼働で止めることが出来ないシステムに利用することを前提に設計されています。そのため、マザーボードや電源といった重要な部品に、より信頼性、耐久性にすぐれたパーツが使用されています。たとえば電源は国産のニプロンが有名で、多くの産業用PCで採用されています。

産業用PCを構成する部品の代名詞と言っても良いニプロン製電源。信頼の日本製で、工場や乗り物の中など過酷な現場でも安定した動作を誇ります。

劣悪な環境に強い

工場の製造現場や産業機器への組み込みで使用する場合、高温多湿の場所だったり粉塵が多い場所だったり、より過酷な環境に置かれることが多いです。そのため、高温に耐えられるよう吸排熱を重視した設計がなされていたり、防塵のための対策が取られていたりします。

PCにとって熱は大敵ですが、産業用PCが活躍する現場では長時間の使用により民生用PC以上にヒートシンクやファンに埃が溜まったり、熱暴走の可能性が高まります。対策として大型のヒートシンクや筐体内に埃を侵入させないフィルタなど、環境に合わせた部品を搭載します。

民生用PCより値段が高い?

産業用にさまざまな対策や専用設計が行われている以上、どうしても価格は民生用PCより高くなってしまいます。ただ、産業用PCとひとことに言ってもさまざまで、自動監視機能や保守サービスなどあらゆる機能やサービスが充実している高価格モデルから、ユーザーが重要視する部分にのみこだわり、他の部分は民生用に近い構成にすることで価格を抑えたモデルも存在します。テガラの製作している産業用PCは基本的に後者にあたります。

 

まとめ

産業用PCと一口に言っても、さまざまなメーカーや製品・サービスがあり、価格帯もまちまちです。最近は以前と比較して、民生用PCとの価格差がなくなってきています。なにより大切なのは、ユーザーの用途に合った製品・サービスを選ぶことではないでしょうか。

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