大容量メモリ搭載マシン 選定のポイント

近年、研究開発業務では、大規模なデータや複雑なモデルを扱うことが増えています。そのような場合、メモリ容量が不足すると、処理速度が低下したり、エラーが発生したりする可能性があります。
このページでは、メモリの重要性や具体的な用途・用法のご紹介と合わせて、テグシスで過去にご提案実績のある「メモリ容量:512GB超」のマシン構成をご案内します。

メモリモジュールの構成など、容量以外の要素がパフォーマンスにもたらす影響については、下記バナーの記事をご覧ください。

メモリ構成によるパフォーマンスの変化

メモリの役割

メモリは、データとプログラムを一時的に保存し、円滑なアクセスを促す役割を担います。具体的な要素は以下の通りです。

並列処理能力の強化 複数のプログラムやタスクを同時に実行する際、各プログラムのデータをメモリに保持することで、スムーズに並列処理を行うことができます。
システムリソースの割り当て OSは、メモリを使ってプログラムやプロセスに必要なリソースを割り当てます。必要なデータや指示がメモリに迅速に読み込まれ、各プログラムの実行がスムーズになります。
データ処理能力の向上 特にサーバーやワークステーションでは、大量のデータや複雑な計算を扱うため、十分なメモリ容量が求められます。メモリが十分にあると、データベース処理、大規模な数値計算、画像処理などが効率良く実行できます。
システムの安定性 メモリが不足すると、コンピュータはページングやスワッピングと呼ばれるプロセスを使ってHDDやSSDの一部を仮想メモリとして使用し始めますが、これはメモリアクセスよりもずっと遅いため、システムのパフォーマンスが低下します。十分なメモリを確保することで、システムの安定性が保たれます。

メモリ容量は大きければ大きいほどいい?

利用するPCやワークステーション、サーバーが搭載するメモリにおいて、実際の処理内容以上にメモリ容量を増やしても、直接的な処理速度の向上は必ずしも期待できません。
メモリの主な役割はデータとプログラムの一時的な保管ですので、使用中のアプリケーションやデータがメモリに完全に収まっている状態でさらにメモリ容量を増やしても、その余分なメモリ領域は活用されない可能性が高いです。

ただし、メモリ容量に十分な余裕がある場合、以下のような間接的なメリットはあります

並列処理性能の向上 複数のアプリケーションやプロセスを同時に実行する際、より多くのメモリがあると、システムがスムーズに動作し続ける可能性が高まります。
データキャッシングの強化 システムは使用頻度の高いデータをメモリ上にキャッシュすることが多いので、メモリの空き容量が大きいほど、より多くのデータを迅速にアクセスできるようになります。
仮想メモリの使用減少 メモリが十分にある場合、OSはハードディスクやSSD上のスワップ領域 (仮想メモリ) に頼ることが少なくなり、これにより全体的なシステムのレスポンスが向上します。

メモリの増設で気にすべき点は?

実際にワークステーションやPC、サーバーを導入する際には、将来のメモリ増設を考慮してハードウェアスペックを検討するケースがあります。そのような場合、以下の点が検討のチェックポイントになります。

メモリスロットの空き数 マシンが持つメモリスロットの総数と、初期構成時に使用するスロット数をご確認ください。
最大メモリ容量 マザーボードやCPUがサポートする最大メモリ容量をご確認ください。
将来的に必要となるメモリ容量と、マシン側がサポートするメモリ容量の限界を把握する必要があります。
メモリの種類・速度 現在使用しているメモリの種類 (DDR4、DDR5など) と速度 (MHz) を記録しておき、将来メモリを追加する際に同じ種類と速度のメモリを選択することが重要です。
異なる速度のメモリを混在させると、全てのメモリが低速側に合わせて動作することになります。
デュアルチャネル対応
クアッドチャネル対応
一部の高性能マシンでは、メモリのデュアルチャネルやクアッドチャネルモードをサポートしており、これらのモードを有効にするには、適切なスロットに適切な数量でメモリを配置する必要があります。将来的にこれらのモードを利用する場合、適切なスロット配置を意識する必要があります。
互換性 マザーボードのメーカーやモデルによっては、特定のメモリモジュールとの互換性が限られている場合があります。将来の増設を考えた際に問題が発生しないよう、互換性情報を確認することが重要です。
電力供給と冷却 メモリ容量の増設は、システムの消費電力と発熱量を増加させる可能性があります。これにより、追加の電力供給や冷却能力が必要になることがありますので、電源ユニットの容量や冷却システムの能力も考慮に入れたいポイントです。

必要なメモリ容量はどうやって確認すればいい?

メモリ容量の検討では、実際にどの程度メモリを使用しているかを把握することで、コストパフォーマンスのよい構成を見極めることができます。
いま実施している処理内容でのメモリ使用量を確認する方法は、オペレーティングシステムによって異なりますが、一般的な確認方法をご紹介します。

Windowsの場合
1. タスクバーの検索ボックスに「タスクマネージャー」と入力し、表示された結果からタスクマネージャーを開きます。
2. タスクマネージャーが開いたら、「パフォーマンス」タブをクリックします。
3. メモリセクションを選択して、使用中のメモリ量とメモリの全体的な使用状況を確認できます。
Linuxの場合
1. ターミナルを開きます。
2. free -m (メモリをMB単位で表示) や htop (より詳細なリアルタイムのメモリ使用状況を表示) などのコマンドを使用して、メモリ使用状況を確認します。

大容量メモリ搭載マシン事例

大容量のメモリが必要とされる用途は様々です。
具体例として、テグシスWEBサイトの掲載のある事例の中から、代表的なものをご紹介します。

事例No.PC-11531 メモリ1TB搭載COMSOL Multiphysics用マシン
メモリ:1TB REG ECC (64GB x16) 予算290万円

流体計算・電磁場計算向けに特化した高スペックマシン構成。連続稼働時のクロック維持と静音性に重点を置き、水冷式CPUクーラーを採用しています。
また、100V環境での利用と事務室での静音性を考慮したパーツ選定で、予算300万円以内を実現しています。

事例No.PC-10986 電磁場解析と深層学習用マシン
メモリ:1TB REG ECC (128GB x8) 予算304万円

Ansys Lumerical FDTD、Rsoft FullWave、MATLAB、Pytorchでの使用を想定した構成例です。
300万円の予算内でメモリ帯域幅を考慮した2CPU構成をご提案しています。

事例No.PC-11180 RTX6000 Adax4枚搭載マシン
メモリ:512GB REG ECC (64GB x8) 予算1220万円

深層学習に特化したPCの構成案として、予算1300万円以内でご提案した事例です。GPUにはVRAM容量を重視して「RTX6000 Ada」x4枚 (総VRAM容量192GB) を選定。将来的にGPUを最大9枚まで増設可能で、200V環境での利用を前提としています。
高度なGPGPU計算に対応し、計算能力とVRAM容量のバランスに優れた構成です。​

まとめ

大容量メモリ搭載マシンは、大規模なデータや複雑なモデルを扱うことができるだけでなく、複数のアプリケーションやプログラムを同時に実行したり、高解像度の画像や動画を扱ったりすることもできます。
また、メモリの使用状況や設定を適切に管理したり、メモリの容量を拡張したりすることで、メモリの効果はさらに高まります。

適切なメモリ容量の選択や増設計画の検討は、テグシスへお気軽にご相談ください。