材料・マテリアル研究では、電子構造解析や分子シミュレーションなど、非常に高度で複雑な計算処理が求められます。そのため、一般的なパソコンでは処理能力が不足し、研究の効率や精度に影響を及ぼすことも少なくありません。
しかし、ご安心ください。専門的な知識がなくても大丈夫です。どのような研究に、どのようなワークステーションが適しているのか——その選び方を、わかりやすく丁寧にご案内いたします。
よく使われる計算手法と必要なスペックの目安
材料・マテリアル研究では、使用する計算手法によって、求められるPCの性能が大きく異なります。ここでは、代表的な手法と、それぞれに適したワークステーション構成のポイントをわかりやすくご紹介します。
主な計算手法
| 計算手法 | 用途 | 構成検討のポイント |
| 第一原理計算 (Ab initio) | 電子構造解析や物性予測高性能 | CPU、64GB以上のメモリ、大容量SSD |
| 分子動力学 (MD) | 分子の運動や相互作用のシミュレーション | GPU搭載、並列処理対応CPU、高速ストレージ |
| マルチスケールモデリング | 原子〜マクロスケールの統合解析 | バランスの取れたCPU・メモリ・GPU構成 |
| フェーズフィールド法 | 材料の相変化や微細構造の予測 | メモリ重視、安定性の高いストレージ |
| マテリアルズ・インフォマティクス | AIを活用した材料探索・設計 | GPU (AI処理向け) 、大容量ストレージ、AI対応構成 |
ソフトウェア別のスペック目安
それぞれの計算手法に対応したソフトウェアも、必要なスペックに影響します。以下は代表的なソフトと推奨構成の一例です。
使用するソフトウェアによっても、必要な構成が変わります。
第一原理計算ソフトウェア (クリックで表示)
上記の第一原理計算ソフトウェアは、原子レベルでの電子構造解析を行うため、非常に高い計算精度と処理能力が求められます。
| CPU | 高性能なマルチコアCPU (例:Intel Xeon / AMD EPYC) 計算の中心となるため、コア数とクロック数が重要です。 |
| メモリ | 最低でも64GB、可能なら128GB以上 大規模な系を扱う場合、メモリ不足がボトルネックになります。 |
| ストレージ | NVMe SSD (1TB以上) 計算結果の読み書きが頻繁に発生するため、高速なストレージが必要です。 |
| GPU | 精度な計算ではGPGPU仕様が優位。ただし、価格面ではCPU計算仕様が優位 大規模演算や並列処理を行う場合は高性能なGPUが必要ですが、CPUで計算を行うことで価格を抑えることもできます。 |
| OS環境 | Linux推奨 (WSL2でも可) 多くの第一原理計算ソフトがLinux環境で最適化されています。 |
分子動力学シミュレーション (クリックで表示)
分子の動きを時間軸で追うシミュレーションでは、並列処理とGPUによる高速化が鍵となります。
| CPU | 並列処理対応のマルチコアCPU (例:Intel Xeon / AMD EPYC・Ryzen Threadrippe) GPUとのバランスが重要です。 |
| メモリ | 64GB以上推奨 多数の分子を扱う場合、メモリ消費が増加します。 |
| ストレージ | 高速SSD (NVMe) シミュレーションデータの保存・読み込みに最適です。 |
| GPU | NVIDIA RTXシリーズ (例:RTX PRO 4000 / RTX PRO 5000) CUDA対応で、計算速度が向上します。 |
| OS環境 | Linux推奨 (WSL2でも可) 多くの第一原理計算ソフトがLinux環境で最適化されています。 |
マテリアルズ・インフォマティクス (クリックで表示)
AIを活用して材料探索を行う分野では、GPU性能とデータ処理能力が重要です。
| CPU | 高性能CPU (例:Intel Xeon / AMD EPYC) データ前処理や並列処理への対応を前提とした選定がポイントです。 |
| メモリ | 128GB以上推奨 大規模データセットを扱う際に必要です。 |
| ストレージ | 10TB以上のHDD+SSD併用 学習データやモデル保存に対応するため、大容量が必要です。 |
| GPU | AI処理向けGPU (例:NVIDIA H100 / RTX PRO 6000) 機械学習モデルの学習・推論に適したGPUが必要です。 |
| OS環境 | LinuxまたはWSL2+Python環境 AIライブラリ (TensorFlow, PyTorchなど) との互換性が高いです。 |
熱・機械的物性解析 (クリックで表示)
構造解析や応力解析など、物理的なシミュレーションを行うソフトでは、安定性とメモリ容量が重視されます。
| CPU | マルチコアCPU (例:Intel Xeon Gold / AMD EPYC) 長時間の解析でも安定した処理が可能。 |
| メモリ | 目安は64GB〜128GB メッシュ数が多い解析ではメモリ消費が激しくなるため、128GB以上の容量が必要になる場合もあります。 |
| ストレージ | 信頼性の高いSSD+バックアップ用HDD 長期保存や再解析に備えた構成が望ましい。 |
| GPU | 基本不要 (ただし可視化用途には有効) 解析自体はCPU中心ですが、結果の3D表示にはGPUが役立ちます。 |
| OS環境 | Windowsが主流。Linux版もあり (特にABAQUS) 多くのユーザーがWindows環境で利用していますが、Linux版は安定性・処理速度の面で優れる場合があります。企業・研究機関ではライセンスや運用体制に応じて選択されます。 |
OSとソフトウェアの互換性
多くの研究用ソフトはLinux環境で最適化されていますが、WindowsでもWSL2を使えばLinux環境を構築可能です。
初心者の方でも、テグシスのサポートにより安心して導入・運用が可能です。
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初めてのPC選びは、専門用語や仕様の違いに戸惑うことも多く、「本当にこの構成で大丈夫かな?」と不安になる方もいらっしゃいます。 「このスペックって何?」「自分の研究に合ってるか分からない…」という方もご安心ください!
テグシスでは、そんな研究者の皆さまの声に寄り添いながら、研究内容に最適なPC構成をご提案しています。
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こうした疑問も、専門スタッフが丁寧にヒアリングしながら一緒に解決していきます。
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研究内容や使用ソフトウェアに応じて、どのような構成が選ばれているのかを具体的にご覧いただけます。
| 事例No.PC-TRNJ253648 Autodock Vina・GROMACS用ワークステーション |
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| 事例No.PC-TRNJ253715 J-OCTA推奨スペック準拠ワークステーション (予算50万円以内) |
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| 事例No.PC-TS2M253330 Gaussian・Quantum ESPRESSO 計算用ワークステーション |
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| 事例No.PC-TRNM253239 機械学習・DFT計算 両立ワークステーション |
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よくあるご質問
Q. GPUは必ず必要ですか?
A. 必ずしも必要ではありませんが、使用するソフトウェアによっては非常に有効です。
GPU (グラフィックス処理装置) は、特定の計算処理を高速化するためのパーツです。
特に以下のような用途では、GPUがあることで処理速度が大きく向上します。
- 分子動力学シミュレーション (例:GROMACS、LAMMPS)
- AIや機械学習を活用した材料探索 (例:ExoMatter、Quloud)
一方で、第一原理計算などCPU中心の処理がメインのソフトでは、GPUがなくても問題ない場合もあります。
「自分の研究にGPUが必要かどうか分からない…」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
研究内容に応じて、最適な構成をご提案いたします。
Q. 予算が限られているのですが…
A. ご予算に合わせて、性能とコストのバランスが取れた構成をご提案します。
研究用PCは高価なイメージがありますが、すべての構成がハイエンドである必要はありません。
- 解析対象が小規模であれば、ミドルスペックでも十分
- 将来的な拡張を見越して、段階的な導入も可能
「なるべく快適に使いたいけど、予算が心配…」という方も、まずは研究内容や使用予定のソフトをお知らせください。
専門スタッフが、無理のない範囲で最適な構成をご提案します。
Q. 導入後のサポートはありますか?
A. はい、導入後も安心してご利用いただけるよう、万全のサポート体制を整えています。
初期設定やソフトウェアのインストールなど、研究者の方がすぐに使い始められるように、以下のようなサポートを行っています。
- ソフトウェアのインストール・ライセンス設定
- ネットワークやストレージの初期構成
- 使用方法の簡単なレクチャー
- トラブル時の問い合わせ対応
「PCのことは詳しくないけど、すぐに研究に使いたい」という方もご安心ください。
テグシスでは、研究者の皆さまが本業に集中できるよう、技術面をしっかりサポートいたします。
その他のご質問はよくあるご質問をご覧ください
参考情報
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材料工学・マテリアル研究用ワークステーション導入のご相談はお気軽に! 研究用・産業用PCの製作・販売サービス TEGSYS – テグシス |

















